社長、経営者保証は外せるものなら外したくないですか?

こんにちは。融資に強い専門家、TGC沼尻です。


今回のコロナ融資において、経営者保証なしで借りることができている中小企業が増えています。

そんな中で、過去に金融機関から借り入れした皆さんの中にも
「たとえ金利が上がっても、経営者保証を外したい」
と望む経営者はたくさんいらっしゃるでしょう。

実は、

日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」にしても、また民間金融機関の「実質無利子・無担保融資」においても、一定の要件に該当すれば経営者保証を外せる仕組みがあります。

公庫で借りる場合、「経営者保証免除特例制度」の要件に該当すれば、先方から「保証人を外しておきましょうか?」と聞いてくれます。

一方、民間金融機関の場合は、債務者側から申請しないと、経営者保証を外す提案はまずしてくれません。


今回は、経営者保証を外したいときに満たしておくべき要件、交渉術をお話ししましょう。

【もくじ】

1.経営者保証ガイドラインの内容を把握しておく

2.経営者保証に関するガイドラインの対象者

3.経営者保証を外す交渉が可能になる経営状況

4.「経営者保証に関するガイドラインの活用に係る参考事例集」を上手く使う

5.経営者保証の解除に積極的な金融機関と消極的な金融機関

6.経営者保証の解除に積極的な金融機関の特徴

7.経営者保証の解除に消極的な金融機関の特徴

8.経営者保証を外してもらうための7項目


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1.経営者保証ガイドラインの内容を把握しておく

まず、経営者保証を外したいとき真っ先にしておかなければならないことは、

「経営者保証に関するガイドラインの内容をしっかりと把握しておくこと」

です。

経営者保証に関するガイドラインとは、中小企業庁と金融庁の後押しで、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会が事務局となり、経営者保証を提供せず融資を受ける際や保証債務の整理の際の「中小企業・経営者・金融機関共通の自主的なルール」として策定・公表されたガイドラインです。

このガイドラインには法的な強制力はなく、金融庁は各金融機関の自主的な対応を促す方策を探っていました。

ところが、最近はこのガイドラインに従って、経営者保証を外す金融機関がだんだん増えてきています。

なぜなら、経営者保証に関するガイドラインの対象となる企業は優良企業であることが多く、そういった優良企業を囲い込むために、経営者保証を外すケースが増えてきたからです。

優良企業に借りてもらうための営業活動ですね。



2.経営者保証に関するガイドラインの対象者

次に経営者保証に関するガイドラインの対象者を見ていきましょう。

経営者保証に関するガイドラインの対象者は、以下の通りです。

1) 主債務者が中小企業であること。

2) 保証人が個人であり、主債務者である中小企業の経営者等であること。

3) 主債務者である中小企業と保証人であるその経営者等が、弁済に誠実で、債権者の請求に応じて負債の状況を含む財産状況等を適切に開示していること。

4) 主債務者と保証人が反社会勢力でなく、そのおそれもないこと。



3.経営者保証を外す交渉が可能になる経営状況

経営者保証に関するガイドラインには、

「経営者保証を外すべき中小企業に求められる経営状況」

が記載されています。


(1) 法人と個人の分離

融資を受けたい企業は、役員報酬・賞与・配当、オーナーへの貸付など、法人と経営者の間の資金のやりとりを、「社会通念上適切な範囲」を超えないようにする体制を整備し、適切な運用を図る。


(2) 財務基盤の強化

融資を受けたい企業は、財務状況や業績の改善を通じた返済能力の向上に取り組み、信用力を強化する。


(3) 積極的な情報開示

融資を受けたい企業は、自社の財務状況を正確に把握し、金融機関などからの情報開示要請に応じて、資産負債の状況や事業計画、業績見通し及びその進捗状況などの情報を正確かつ丁寧に説明することで、経営の透明性を確保する。

情報開示は、公認会計士・税理士など外部専門家による検証結果と合わせた開示が望ましい。

 

となっています。



4.「経営者保証に関するガイドラインの活用に係る参考事例集」を上手く使う

金融庁では、経営者保証に関するガイドラインの活用に関して、金融機関等により広く実践されることが望ましい取組みを事例集として取りまとめ、公表しています。

まず、この活用事例集に目を通してください。

●経営者保証に関するガイドラインの活用に係る参考事例集

https://www.fsa.go.jp/status/hoshou_jirei.pdf

こちらをご覧になって事業者なら自社、また士業・コンサルタントなら自分のクライアント先に似たような事例があれば、その事例を持って取引金融機関に赴き、以下のように尋ねましょう。

「<経営者保証に関するガイドラインの活用に係る参考事例集>には弊社と同様の内容の企業事例が載っているのですが弊社も経営者保証を外してもらうことはできませんか?」

そのうえで、やはり経営者保証を外してもらえない場合、理由を尋ねてみましょう。

「弊社が外してもらえない理由を教えてくださいますか? 外してもらうために、何が必要でしょうか」

 

金融機関の見解を尋ねることで、その後、経営者保証を外すための交渉がしやすくなります。


 

5.経営者保証の解除に積極的な金融機関と消極的な金融機関

これからの時代、金融機関によって融資方針や取組方針に大きな差が出てきます。

(上記の「融資方針や取組方針」とは、事業性評価融資・保証協会の保証付き融資・担保徴求の有無・保証人徴求の有無・創業融資に対する取組・本業支援に関する取組・リスケ先に対する取組等のことです)

経営者保証を外したいときは、上述した経営者保証ガイドラインの把握に加え、

「経営者保証解除に対して、積極的に取り組もうとしている金融機関とつきあうこと」

が重要になってきます。



6.経営者保証の解除に積極的な金融機関の特徴

経営者保証の解除に積極的な金融機関の特徴は以下の通りです。

・経営者保証に関するガイドラインについての説明を積極的に行おうとしている

・担当者・貸付担当役席・支店長が「経営者保証に関するガイドライン」を熟知している

・コミュニケーションを十分にとり、良好なリレーションシップを構築しようとしている

・事業性評価融資に積極的に取り組んでいる

・自行庫の利益だけではなく、取引先企業の利益も真剣に考えてくれている



7.経営者保証の解除に消極的な金融機関の特徴

経営者保証の解除に消極的な金融機関の特徴は以下の通りです。

・積極的なのは保証協会の保証付き融資

・担当者も支店長も訪問してこない

・担当者が、取引先企業の事業内容を把握していない

・カード入会などお願いばかりしてくる

・事業性評価融資に積極的に取り組んでいない



8.経営者保証を外してもらうための7項目

さて、ここが大事なところです。

経営者保証を外したい事業者は、下記の7項目を押さえておくことが必要です。

1)会社のお金と、個人のお金を一緒くたにしない

2)決算書を大幅に黒字化する

3)自己資本比率を高める

4)事業計画書を作成する

5)定期的に金融機関に業績報告を行う

6)積極的にサポートしてくれる専門家を味方につける

7)経営者保証の解除に積極的な金融機関と取引を始めておく

こういったところを押さえておきましょう。


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いかがでしょうか。

これまで経営者保証を外すのは至難の業だと思われていましたが、金融検査マニュアルが廃止となった今、経営者保証を外せるチャンスはどんどん増えています。

ご興味がおありの事業者様がいらっしゃいましたら、こちらの弊社Webサイトよりお気軽にお問い合わせください。

事業承継をお考えで自分の経営者保証を外したい、すでに経営の第一線は退いているので経営者保証を外せるものなら外したい、などなどの事例はもちろん、皆さん外せるものなら経営者保証なんて外したいですよね。

経営者保証を外すために超えなければいけないハードルはいくつかありますが、そのための知識さえ持っていれば、思ったより容易に経営者保証を外すことが可能です。


TGC トップギヤコンサルティング

TGCは専門分野としての認識が必ずしも高くなかった「BtoBおよびBtoCの営業戦略」に関して、知見の集積を加速させ、また、本分野に関わる専門家や有識者とのネットワーク構築を通じて、最先端の営業戦略動向を把握することで、営業戦略機能の抜本的な強化と、それに基づく競争力の持続的な向上に寄与することを目指します。

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