こんにちは。
融資に強い専門家、法人営業特化型コンサルタント、トップギヤコンサルティングの沼尻です。
以前からしばしば言われていて、最近さらによく目にする話題。
それは、「借金はするべきか? 避けるべきか?」。
経営者の方とお話をすると、「うちは無借金経営だから!」とおっしゃる方も珍しくありません。
健全に経営をして、会社の資金も順調に増やしていく会社では、確かに借金する必要もないかもしれませんし、借金しなくても会社を回していけるその経営手腕は素晴らしいことです。
しかし今回のコロナ禍で、今のところ無借金経営で来たとしても「少額でいいから、借金しておいた方がよいのでは」と考えることがあります。
【もくじ】
1.「金融機関を紹介してほしい」というご相談について
2.なぜ、「金融機関の紹介」の要望が寄せられたのか
3.懇意にしていない企業の優先順位は低い
4.無借金経営はリスクにもなる
5.有名レストランでも大変な経験をされたようです
6.少額でもいいので借金して金融機関とのパイプを作っておこう
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1.「金融機関を紹介してほしい」というご相談について
昨今のコロナ禍で、
「どうやってコロナ融資を借りればいいのでしょうか?」
というご相談を受けることが多くなりました。
つまり「どんな手法で」を尋ねる相談です。
そして、さらにその質問の中で、
「新型コロナ融資を貸してくれる金融機関を紹介してほしい」
という依頼もありました。
これは「どんな手法で」ではなく、「どこに行けば」という話です。
2.なぜ、「金融機関の紹介」の要望が寄せられたのか
昨年、2020年3月17日に、日本政策金融公庫から「新型コロナウイルス感染症特別貸付」がスタートしました。
3月中は申請件数があまり多くなかったため、初期に申請した事業者は1~2週間程度で借りることができました。
しかし4月に緊急事態宣言が発令されると申請が集中し、実行まで2~3ヶ月を要する事態になってしまいました。
着金まで3ヶ月待ち、と言われても3ヶ月分の運転資金を確保できている中小企業は少なく、多くの事業者が資金繰りに支障をきたします。
そこで5月1日から「民間金融機関による実質無利子・無担保融資」が開始。
いわゆる「ゼロゼロ融資」です。
とはいえ日本政策金融公庫しか借りたことがなく、民間金融機関と融資取引を行ったことがない中小企業もかなり多くありました。
そんな民間金融機関と取引のない事業者が至急の資金調達を希望したので、
「新型コロナ融資を貸してくれる金融機関を紹介してほしい」
という相談が多く寄せられるようになったのだと思います。
3.懇意にしていない企業の優先順位は低い
当時は民間金融機関も、すでに取引のある既存取引先からの融資申請の対応で手一杯でした。
既存取引先への対応を優先するあまり、今まで取引のない事業者からの
「新型コロナ融資を利用したい」
という要望を後回しにせざるを得なかったようです。
間違っても新規客をないがしろにしたわけではなく、どうにも手が足りなかった。
当時、昼夜問わず対応にあたっていた多くの金融機関職員のために、これはぜひ強調しておきたいところです。
4.無借金経営はリスクにもなる
さて、当時当方への相談や、私の所属する融資コンサルタント協会に相談してきた事業者さんの中には、日本政策金融公庫からも借りていない、いわゆる「無借金経営」の会社が多々ありました。
無借金経営で何十年も活動している会社なら、通常だと金融機関の側から
「おつきあいしていただけませんか」
「お金を借りてもらえませんか」
と声をかけられているでしょう。
しかし先述のとおり、どれだけ財務内容がよくても、いざというときには既存取引先を優先され後回しにされてしまうことがあります。
日ごろから金融機関との濃い接点がないため、非日常な事態が起こると無借金経営が仇となるのです。
5.有名レストランでも大変な経験をされたようです
2021年3月4日に「現代ビジネス」で掲載された記事に、
「必ずしも無借金経営がよいとは限らない」
という点について書かれています。
●「初めて銀行で借金をした」落合務シェフが語るコロナ禍の飲食店が「本当に伝えたいこと」
記事によると、東京のイタリア料理屋の中でも予約のとりにくい店として有名な銀座「ラ・ベットラ」は、それまで無借金経営で行ってきたそうです。
オーナーシェフ・落合務さんの次の言葉が、とても印象的でした。
「この店はずっと無借金で経営してきたんです。
いままで借金をしてなかったことを誇っていたわけですけど、でもそれは逆に、銀行取り引きから言えば僕が信用がないということだった。
そんなことも初めて勉強しましたよ。」
6.少額でもいいので借金して金融機関とのパイプを作っておこう
金融機関側から見ると、
「融資があるからこそ、深くつながることができる」
という側面は確かにあります。
融資があれば、少なくとも年に一度は決算書をもらうことができます。
それだけでも、その企業の財務内容を把握することができます。
また、融資があれば貸出先を訪問する大義名分を見つけやすいため、頻繁に訪問することも可能です。
そして、会う回数が多ければ多いほど関係性は強化され、いざというときに力になりやすいのです。
よって事業者側としては、そのパイプをつなげるためにも少額でもいいので借りておくことをおすすめします。
それは経営者としてのリスクマネジメントとも言えるでしょう。
必要ない資金なら「定期預金」にして当該金融機関に預けておくことで、関係性はより強化されます。
そこにかかる金利は、「いざというときの保険料」として考えた場合、決して高いものではないと私は考えます。
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