こんにちは、融資に強い専門家・トップギヤコンサルティングの沼尻洋壱です。
先日、事業再構築補助金の第1回公募が締め切りになりました。
「新しい補助金の初回募集は採択率が高い」という噂も耳にしますが、今回の募集は低い採択率にとどまるのではないか、と個人的には思っています。
なぜなら事業再構築補助金は、その事業を実施するための費用が大きく「資金繰り」が重要項目になります。
その資金繰りとして、補助事業に必要な資金を調達できるかどうかという部分で、事業の「実現可能性」が問われるからです。
そうなると、「財務内容の悪い企業」は資金調達力に疑問を呈され、採択されない可能性が高いのではないでしょうか。
ちなみに「ものづくり補助金」でも同様の傾向がありますが、その方針がより強化されたのではないかと考えます。
財務内容がよい企業は自己資金が潤沢にあるので、「資金繰り」は心配ありません。
しかしながら、中小企業の多くは自己資金が潤沢とはいえない状況でしょう。
どうしても必要なら、借入を行わざるを得ない。
事業再構築補助金を申請するにあたっては、「金融機関の支援」が必要になってきます。
今回は、金融機関の支援を受ける際に金融機関が見る自社のポイントや、そもそも支援を依頼する金融機関もない、という場合にどうするか等々、金融機関との付き合い方についてご案内します。
【もくじ】
1.資金繰りの面で審査員が見るポイント
2.懇意にしている金融機関を持っているか?
3.財務内容が悪く、懇意にしている金融機関もない場合
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1.資金繰りの面で審査員が見るポイント
私の知人で、「経営革新計画」の審査員を行っていた人がいるのですが、彼曰く審査の際には
「この計画を行うにあたって必要な資金をどうやって調達するのか」
を重点的に見ていたとのことでした。
※「経営革新計画」とは
経営革新計画は、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する中期的な経営計画書です。 計画策定を通して現状の課題や目標が明確になるなどの効果が期待できるほか、国や都道府県に計画が承認されると様々な支援策の対象となります。
(東京商工会議所Webサイト)
真っ先に見るのは「財務内容」です。
財務内容が極端に悪い場合は、申請側に「必要な資金をどのように調達するのですか」と尋ねていたそうです。
財務内容が悪ければ、金融機関が前向きに融資することはまれです。
そこで納得のできる回答がもらえないときは、
「資金調達面で、実現可能性が低い計画になっていますね。その点を改善しないと、審査に通るのは厳しいと思います」
とお伝えしていたそうです。
この「経営革新計画」というのは、国や都道府県に提出する前に、商工会議所や地域の産業振興公社などに相談してキッチリと内容確認してもらわないといけないという、結構面倒な書類なんですよね。
その内容確認をしてもらう際に、計画にお金が伴ってないと指摘されるというわけです。
しかし財務内容が悪くても、
「●●の理由で、取引金融機関からの支援を受ける確約ができています」
という回答がある場合は、その事業計画を肯定的にとらえていたようです。
2.懇意にしている金融機関を持っているか?
たとえば今回の事業再構築補助金でも、6,000万円や9,000万円の費用が必要な事業を申請する場合、後日2/3の金額が補助されるとしても、まずその全額を用意するための資金が必要になります。
企業規模や取引金融機関の規模にもよりますが、6,000万円や9,000万円の資金をおいそれと貸す金融機関はなかなかありません。
よほど金融機関との強いパイプがないと、簡単には借りられないでしょう。
もし、そんな強いパイプのある金融機関を持っていれば、
「なぜ取引金融機関は必要資金を融資してくれるのか」を事業計画書に詳しく記載しましょう。
財務内容が悪くても資金調達の可能性を示すことができれば、「実現可能性」の面はクリアできます。
「懇意にしている金融機関がある」ことは、今回の事業再構築補助金で強い武器になるのです。
3.財務内容が悪く、懇意にしている金融機関もない場合
財務内容が悪く、懇意にしている金融機関もない場合は、申し訳ないですがかなり高い確率で事業再構築補助金には採択されないのではないかと考えます。
その場合は財務内容を改善するか、懇意にしてくれる金融機関を開拓する必要があります。
財務内容は、一朝一夕に改善できるものではありません。
仮に事業再構築補助金が今年度限りだった場合、1年以内に劇的に改善することはこのコロナ下においてほぼ不可能です。
そうすると、できることは「懇意にしてくれる金融機関の開拓」です。
なお、まったく取引のない状況で新たに融資してもらえるようになるためには、最低でも6ヶ月程度はかかります。
逆に言うと、6ヶ月あれば貸してもらえる金融機関を開拓することは可能なのです。
今からなら、年内の申請にギリギリ間に合わせることができるのではないでしょうか。
新たに貸してくれる金融機関を開拓する方法は、以前のブログで解説しています。あわせてご覧ください。
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