こんにちは。
融資に強い専門家、トップギヤコンサルティングの沼尻です。
先日、新たに事業を始めた方から公庫の「新創業融資」について、相談を受けました。
次はその事業者さんに対して、融資を申し込む際に添付する事業計画書作成のご支援をさせていただきます。
融資を受ける際に審査が有利に運ぶように事業計画書の添付をおススメしていますが、以前のブログでもご案内した、令和2年度第3次補正予算で出てきた新たな信用保証制度では、要件として「今後取り組む事項(アクションプラン)を作成すること」と記載があります。
スムーズに借りるために、今後は具体的資料として「アクションプラン」の提示が必要になってくるでしょう。
この新しい信用保証制度が、金融機関の融資対応が変わるきっかけになるかもしれません。
【もくじ】
1.なぜ融資対応が変わるのか?
2.具体的にどんなアクションプランが必要になるのか?
2-①.新規顧客獲得策
2-②.リピート率強化策
2-③.客単価向上策
2-④.経費削減策
2-⑤.原材料費削減策
3.金融機関にアクションプランを提出するときの注意点
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1.なぜ融資対応が変わるのか?
金融機関が融資をする際に、もっとも重要視しているのが「返済可能性」です。
返済可能性が低い企業に、金融機関は融資をしません。
「返せる根拠」を示すことができなければ、融資してもらうことができないのです。
そこで借りたい側としては、「どのように取り組むことで売上や収益を上げるのか」という「アクションプラン」を説明することで金融機関に根拠を示すことができます。
今まではその根拠を口頭での説明で済ませるケースが多かったのですが、これからは変わります。
新しい信用保証制度の申請要件のひとつに、「今後取り組む事項(アクションプラン)を作成すること」とあるからです。
<参照>
経済産業省
こちらの17ページ
Ⅰ、「新たな日常」の先取りによる成戦略中小企業・地域の2ページ目
資料としてアクションプランを提出しなければならなくなるのです。
口頭説明では通らなくなってくるでしょう。
2.具体的にどんなアクションプランが必要になるのか?
「返済できる根拠」をアクションプランとして提出する必要が出てきたわけですが、具体的にどのようにアクションプランを組み立てればいいのでしょうか?
「返済できる根拠」=「収支改善策」ですので、おもに5つの方向性から内容を詰めていきましょう。
●新規顧客獲得策
●リピート率強化策
●客単価向上策
●経費削減策
●原材料費削減策
以下、飲食店の例で説明しましょう。
2-①.新規顧客獲得策
適正な利益率が確保できていれば、売上を増やすことで利益を増やせます。
そのために真っ先に考えるのが「新規顧客の獲得」でしょう。
「新規顧客を獲得するための施策」について実現可能性の高いアクションプランを提示することで、金融機関に納得してもらうことができます。
<新規顧客獲得策(例)>
●来店促進用チラシや割引クーポンの配布
●SNSによる情報発信
●フリーペーパーによる広告
●プレスリリースで新聞・雑誌に取材に来てもらう
●ポータルサイト・クチコミサイト(食べログ・ぐるなび等)への登録
2-②.リピート率強化策
新規顧客を獲得するには、既存顧客の5倍のコストがかかると言われます。
新規顧客の獲得にはチラシ・割引クーポンの配布や広告などのコストがかかるため、既存顧客より利益率が低くなる傾向があるのです。
そこで重要になってくるのが、既存顧客の再来店率を高めることです。
<リピート率強化策(例)>
●接客力の強化
●季節のメニューの開発
●ポイントカードの導入
●名刺をいただいた顧客にDM送付
●LINE公式アカウントへの登録→クーポンの配布
2-③.客単価向上策
飲食店における売上の法則は、「客数×客単価」。
来店客数を増やす努力をすると同時に、客単価を増やす努力をすることで、より多くの売上を上げることができます。
客単価アップはちょっとした工夫でできますので、以下を例に考えてみてください。
<客単価向上策(例)>
●客単価の高い「季節のメニュー」の投入
●顧客へ声をかけることで「ドリンク追加注文」の誘導
●「ご一緒に◯◯はいかがですか」(マクドナルド方式)
●サイズアップメニュー・セットメニューの投入
●2段階・3段階の上位価格の商品を作る
(「並」と「上」の2段階、「松」「竹」「梅」の3段階など)
2-④.経費削減策
さまざまな制約で売上を伸ばせるような施策が打てないときには、収益を確保するために支出を減らす方法もあります。
手っ取り早いのは、「経費の削減」。
多くの店舗・企業にとって一番大きな経費は「人件費」ですが、人件費を削減すると従業員のモチベーションが下がったり、優秀な人材から退職したりする危険もあるため、安易に人件費に手をつけるのはおすすめしません。
(かく言う私も、過去勤めていた会社で夏、冬共にボーナスが出ず、イヤになって転職したことがあります(笑))
金融機関も組織の弱体化を気にしますので、人件費の削減は最終手段として取っておいた方がよいでしょう。
では何を減らす?
<経費削減策(例)>
●家賃交渉による家賃の削減
●電力会社・省エネ機器・電力契約容量の見直しによる水道光熱費の削減
●保険・リース契約の見直し
●「セルフオーダーシステム」「券売機」等のシステム導入による人件費削減
●販促方法の見直しによる広告宣伝費の削減
2-⑤.原材料費削減策
「経費削減」はおもに固定費を削減する方法ですが、変動費を削減するのも支出を減らすのに有効な方法です。
飲食店における変動費として「原材料費」があります。
(パート・アルバイト等の「人件費」も店の開店時間と連動しているので変動費と考えることも出来ます)
ここでは原材料費を削減する例を考えてみましょう。
<原材料費削減策(例)>
●原材料率が低いメニューの開発
●共有食材の利用による新メニュー開発で、ロス率を低減させる
●仕入れ業者の見直しによる原材料費の削減
●メニューの絞り込みによるロス率の低減
●仕入れ業者との価格交渉による原材料費の削減
3.金融機関にアクションプランを提出するときの注意点
上記のような「収支改善案」を「アクションプラン」として提出する必要がありますが、金融機関に提出する際に気をつけておくことがあります。
①、「改善策」の羅列で終わらない、スケジュールをつける
「来店促進用チラシや割引クーポンの配布」
「ポイントカードの導入」
「客単価の高い「季節のメニュー」の投入」
「家賃交渉による家賃の削減」
「仕入れ業者の見直しによる原材料費の削減」
といった改善策を羅列しても、それが本当に実現できるかどうか金融機関は判断できません。
それぞれの改善策を「いつ」「どのように」「どんなスケジュール」で実現させていくのかを細かく具体的に説明する必要があります。
例えば「来店促進用チラシや割引クーポンの配布」を行う場合、以下の例のような具体性を持たせましょう。
・2/1 印刷業者・配布業者の選定
・2/3 印刷業者・配布業者との打合せ
・2/10 チラシのデザインアップ
・2/15 チラシのデザインの最終決定→印刷
・2/18 A地区(2000部)にチラシ配布(1回目)
・2/21 B地区(1500部)にチラシ配布(1回目)
・2/24 C地区(1500部)にチラシ配布(1回目)
・2/27 A地区(2000部)にチラシ配布(2回目)
・3/ 2 B地区(1500部)にチラシ配布(2回目)
・3/ 5 C地区(1500部)にチラシ配布(2回目)
「するべきこと」と「スケジュール」を具体的に決めることで、金融機関に「実現可能性」と、プラン実行への強い意志を強く感じてもらうことができます。
②、効果を数字で表すこと
ひとつひとつの「収支改善案」を実行することで、「どれぐらいの収支改善=結果が得られるか」を提示する必要があります。
そのために、「収支改善案を実行しない場合の収支計画書」と「収支改善案を実行した場合の収支計画書」の2種類を作成しましょう。
この2点で、「収支改善効果」を強く訴えかけることができます。
一般的に、ここまで内容を具体化した「収支改善案」を提出する企業はほとんどありません。
しかし、今後はそれが「普通」になってくるかもしれません。
販売促進や売上アップ等の看板を掲げるコンサルタントに、直接連絡を取って相談する飲食店や企業は、そう多くはありません。
身近な税理士、または周りの士業・コンサルタントに相談すれば、上記の内容について、一緒に知恵を絞ってくれるかもしれません。
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コロナの影響が続いているため、1回目のコロナ融資を借りられたにもかかわらず廃業するケースが出てきています。
廃業する企業や個人事業主が増えてくると金融機関はリスク意識を高め、かならず融資を「絞って」きます。
今までのように簡単には借りられないようになることが十分予想されます。
一方、金融機関と良好な関係を構築している企業は、続けて貸してもらう(2回目のコロナ融資=追加融資)ことが出来ますが、そうでない企業の場合、上記のアクションプラン作成が大きなポイントになってくるでしょう。
内容についてご相談、お問い合わせなどございましたら、お問い合わせページよりお気軽にご相談ください。
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